冬の時期になると、「夜寝ていると足(ふくらはぎ)がつって起きてしまう」といった相談を受けることが増えてきます。一般的にこれを「こむら返り」といいます。
こむら返りは、筋肉が急激に収縮することで起こる突然の痛みやけいれんです。
主にふくらはぎや足の裏側で感じられ、その痛みは鋭く、刺すような感覚や筋肉の硬直感として現れます。睡眠中や運動時に発生しやすく、しばしば夜中に目覚める原因ともなります。
今回はそんな、夜足がつって起きてしまうことについて、お話したいと思います。
なぜ足がつるの?
足がつる原因は、さまざまな要因で起こります。
以下にあしがつる原因の代表的なものをあげます。
- 筋肉の疲労とストレス:長時間立ち続けたり、運動後に筋肉が疲れ果てた状態で休息を取らない場合、こむら返りのリスクが高まります。
- 運動不足や姿勢の問題:長時間座りっぱなしや体のバランスを崩した姿勢は、筋肉を過度に緊張させることがあります。
- 栄養不足や電解質のバランスの乱れ:カルシウムやマグネシウム、カリウムの不足はこむら返りを引き起こす可能性があります。
- 妊娠や特定の疾患によるこむら返りの発生:妊娠中の女性や特定の疾患を持つ人々は、こむら返りをよく経験します。
- ミネラルバランスの乱れ:体内のミネラル成分(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)のバランスが崩れると、神経伝達や筋肉の収縮、弛緩運動がうまく行われなくなり、こむら返りを引き起こす可能性があります。
- 血流の悪化:特に、睡眠中に起こるこむら返りは、血流の悪化が原因である場合が多いです。
筋肉には動かす命令を出す「神経」と、筋肉を動かすための燃料となる「血液」によって、正常に働くようになっています。
これらのバランスがうまくいかないと、正常な働きができず、こむら返りが起こってしまうと考えられます。
足がつった時の対処法・治療法
筋肉の緊張状態を解くために、なるべく深呼吸などリラックスをすることが大事です。
なるべく深呼吸をして神経をリラックスさせることで筋肉がほぐれます。
そして重要なポイントは、縮んだ筋肉を伸ばすことです。この対処ができていないと、筋肉が過度に収縮した状態が続いてしまい、痛みが長引く恐れがあります。
足をつった場合などの一時的な筋肉のけいれんは、局所の血流不足を改善させるために患部を冷やすのではなく温めるようにすることや、固定してしまうのではなくより積極的に動かすことで、筋肉への血流を増やすようにします。
また、毎晩足がつるのを繰り返す場合は漢方薬も効果的です。
漢方薬(芍薬甘草湯:シャクヤクカンゾウトウ)を毎晩寝る前に飲むことで血流量が増え、足がつるのを予防することが見込めます。
当院では、基本的には漢方薬を処方し経過を見ていくことがほとんどです。
しかし、あまりにも筋肉の痛みや固さが残る場合は鍼治療などを行う場合もあります。
足がつる原因もいくつかあるなかで、動脈硬化や糖尿病などが原因となる場合もあるので、症状を繰り返す場合は一度専門医へ受診することをお勧めします。