先日診察をしていると「3歳の子供が急に右手を動かさなくなって、動かすと痛がって泣いてしまう」といった相談を受けました。
母親に詳しく話を聞くと、お子さんの手を引っ張って持ち上げる遊びをしていたとの事です。
子供が手を動かさない、動かすと痛がると言った症状と、お母さまの話から、「小児肘内障」が考えられます。
今回はその「小児肘内障」についてお話したいと思います。
引っぱるのは厳禁?!
肘内障は、子供が手を引っ張られたり、手を衝いたりなどの衝撃がかかるときに起こるケガで、橈骨という腕の骨を安定させるための靭帯が外れてしまう状態です。関節が外れてしまう脱臼とは違い、そこまで大きなケガではありません。
肘内障は主に1歳から6歳の子供に多く見られ、特に1~3歳の幼児に起こりやすい傾向があります。7歳以上になるとほとんど見られなくなります
子供のこの症状、肘内障かも?
・腕を下したまま動かさなくなる
・腕を使おうとしない
・腕に触れようとすると嫌がって泣く
・肘関節に腫れや赤みを伴うことはない
以上の症状がある場合は肘内障が考えられます。
しかし、転倒した、高所から落下した、何かにぶつかったなど理由がある場合は、他のケガも考えられるので、受診するようにしましょう。
肘内障になった時はどうやって治すの?
肘内障の治療は、主に医師や柔道整復師による整復(骨のずれをもとに戻すこと)で行われます。
整復は一瞬で行われ、基本的に麻酔は使わないことが多いです。 一瞬痛みが出ることがありますが、整復後は比較的すぐに痛みが治まることが多いです。
また1回でなく何回か別の整復法を試す中で治ることもあります。
肘内障にならないためには
・手を強く引っ張らない
・外遊びを控える
・ 抱っこする際には体を抱える
これらの予防法を実践することで、肘内障のリスクを減らすことができます.
また受傷から1週間ほどはクセになりやすいため、以上の予防法をする事が大切です。
今回の患者様は、診察のあとすぐに整復を行いました。
整復後は数分で何事もなかったかのように右手を使用し、帰るころには右手でお菓子を食べていました。
このように肘内障である場合は整復後すぐに症状がなくなります。
そして成長につれて起こらなくなってくるケガなため、それほど強く心配しなくても大丈夫です!
症状を繰り返す場合はすぐに病院へ受診するようにしましょう。