こんにちは、先日診察に「出産してから手首の痛みが出てきた」と訴える30代女性の方が来院されました。
お話を聞くと、産後、子供の抱っこなどで負担になっていたとのことです。
レントゲンでは明らかな骨折はなく、エコー検査をしたところ、手首の腱が腫れている事がわかりました。
今回はそんな手首の腫れ、「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」についてお話ししたいと思います。
なぜ手首の親指側が痛くなるの?
ゥ・ケルバン腱鞘炎(ドケルバン病)は、親指を大きく広げると手首に見えてくる2本の腱(短母指屈筋腱と長母指外転筋腱)と、手首の背にある腱鞘の間で摩擦、炎症が起きることで発症する腱鞘炎です。
主な症状は、親指を動かしたり、手首を動かすと親指のつけ根~手首にかけて痛みを感じ、手首の親指側が腫れます。
親指を外側に開いたり、手のひら側に動かすと特に痛みが生じやすいです。
原因としては、親指の使いすぎによる負荷のため、腱鞘が肥厚したり、腱の表面が傷んだりするためです。
しかし、日常的に親指はよく使用する指のため、繰り返し刺激が入り、悪循環が生じると考えられています。
特にパソコンやスマートフォンの使いすぎ、幼児の抱っこ等によって起こることが多いです。
どんな人になりやすいの?
1.妊娠・出産期や更年期の女性: ホルモンの変化がきっかけになって多く発症します。
2.手や指をよく使う人:スポーツ選手(特にラケットを使用する競技)、アーティスト(ギターやピアノ奏者)、紙をめくる、数えるなど手先を酷使する仕事の人にも多いです。
3.オフィスワーカー:パソコンやスマートフォンの使いすぎによって起こることが多いです。
4.手首の可動域が狭い人: 手首のケガで可動域が狭い方もリスクがあります。
5.むくみやすい人: むくみやすい方(更年期の女性など)も注意が必要です。
これらは一般的な傾向であり、個々の状況により異なる場合があります。具体的な予防策や対策については専門医と相談してください。また、すでにドゥ・ケルバン腱鞘炎の症状が出ている場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
治療方法は?
治療方法としては、まずは手首から親指を安静にすることが重要です。
サポーターやテーピングで手首にかかるストレスを軽減させます。
それでも症状が続く場合は、痛み止めのステロイド注射や鎮痛薬も使用します。
症状が長期に渡る場合や、重症度の高い症状の場合には手術を検討します。
どのように予防したらいい?
ドゥ・ケルバン腱鞘炎の予防には以下の方法が大切です
1.正しい姿勢を保つ: 正しい姿勢を保つことで血行が促進され、腱鞘炎のリスクが低減します。
2.適度な休憩を取る: 長時間の作業中には適度な休憩を取ることが重要です。特にスマートフォンやパソコンを長時間使用する場合は、少なくとも1時間につき10分は休憩をとることをお勧めします。
3.ストレッチ: 日常で頻繁に使う手や指の筋肉を柔らかく保つためには、ストレッチが非常に効果的です。指、手首、肘などを中心に、1~2時間ごとにストレッチを行うと良いでしょう。
これらの予防策は一般的なものであり、個々の状況により異なる場合があります。具体的な予防策や対策については医師やリハビリの先生と相談してください。
今回は右手首の親指側の腱鞘炎「ドゥ・ケルバン腱鞘炎」について説明させていただきました。
当院に相談された患者様は、サポーター固定とステロイド注射を行い2週間程度で症状が改善したそうです。
ただこの症状は再発もしやすい症状なので、日頃の生活からストレッチ等を行い予防することも説明しました。
当院ではリハビリなどでの日常生活指動作の指導も行っているので、お気軽にご相談ください!