こどもが夏休みに入り、自宅での料理が増えたお母さん。子供の自由研究で一緒に工作やDIYをするお父さん。ついつい張り切ってしまい包丁やカッターで指を切ってしまうなんてことも多いと思います。
当院でも、最近では「指を切ってしまった」という方も多くみられます。
今回は「指を切ってしまった」時の対応などについてお話したいと思います。
まずは冷静に
指を切った瞬間は出血や痛みでパニックを起こしてしまう恐れがあります。
パニックになってしまうと、二次、三次被害につながりかねません。
ケガをしてしまった際はとくに冷静な対応が求められます。
まずは深呼吸をして、心を落ち着かせましょう
次に、ケガが起きた場所が安全か確認し、周囲に二次被害の危険がないか注意します。
安全が確認できたら、冷静に傷の深さや出血の量を確認し、緊急の対応が必要かどうかを判断します。深い切り傷や出血が激しい場合は、迅速に専門家への連絡を検討します。
冷静な対応をすることで、正確な応急処置をして大けがを防ぐことができます。
切り傷の応急処置
指を切ってしまった場合、適切な応急処置を行うことが大切です。
以下では、切り傷の応急処置に関するステップを説明します。
・出血を止める
出血を止めるために清潔なガーゼや布で傷口を押さえます。
このとき、テッシュでは繊維が細かく、傷口に張り付いてしまうためなるべくガーゼやタオル、キッチンペーパー等を使用しましょう。
・傷口を洗浄する
出血がある程度おさまったら、流水で傷口を洗い流し異物や汚れを取り除きます。
清潔な状態を保つことで感染リスクを低減します。
・抗菌軟膏を塗る
清潔な状態の傷口に抗菌軟膏を塗ることで、感染リスクを軽減します。
抗菌軟膏によって傷口の状態が改善しやすくなります。
・傷口を覆う
傷口を清潔なガーゼやバンドエイドで覆うことで外部からの汚染や刺激を避けます。
また、近年では傷口は乾燥させず(かさぶたを作らない)、湿った状態にしておくことが推奨されます。
浸出液が出て湿っている状態にすることでキレイに傷口が治っていきます。
・医師や専門家の指示に従う
傷が深い場合や出血が抑えきれない場合は、病院受診し医師や専門家の助言を求めることが重要です。専門家の指示に従って適切な処置を行います。
基本的に傷の処置は、外科・整形外科・皮膚科・形成外科などで対応が可能です
感染予防とケア
指を切ってしまった際、傷口は抵抗力が弱く感染しやすいため、適切なケアを行うことが重要です
そのためには、傷口の清潔を保つことが基本となります。こまめに手洗いを行い、傷口に触れる際には清潔な手袋を着用することを心がけます。
また傷口の回復過程を注意深く観察し、傷口周辺に炎症や腫れ、異常な分泌物などの異常症状が見られる場合は、速やかに診察を受けることが重要です。
傷口はこのように治っていく!
- 炎症と止血: 傷ができると、出血が止まるための血小板が集まり、炎症反応が始まります。これによって傷口周辺が赤くなり、腫れることがあります。
- 新生組織の形成: 傷口には新しい組織が形成されます。傷口の深さや大きさに応じて、線維芽細胞が傷口を埋めるためのコラーゲンを生成します。
- 上皮再生: 傷口の表面は、上皮細胞によって覆われます。これにより傷口が保護され、外部からの感染を防ぎます。
- 瘢痕形成: 傷口が完全に閉じた後、瘢痕組織が形成されます。これによって傷痕が残る場合があります。
このときに傷口が湿潤環境で維持できていると瘢痕が残りにくく、キレイな状態で治っていきます - 完全な治癒: 時間が経つにつれて、傷口は段階的に収縮し、色も薄くなります。完全な治癒には個人差があり、傷の種類や体の健康状態によって異なります。
まとめ
指を切ってしまったときは、とにかく冷静に処置をすることが大切です。また処置をしたあとも感染には特に注意しましょう。
指を切らないために調理環境や作業環境を整え、器具の手入れも怠らないように日頃から注意しましょう!