先日、診療をしていると「右足の付け根が痛い」訴える60代女性がいらっしゃいました。
「歩くと痛い」という訴えでした。歩き方もぎこちなかったので、「変形性股関節症」ではないかと考えました。
実際にレントゲンを撮影するとやはり、右足の付け根「股関節」を構成する骨に変形を確認できました。
やはり変形性股関節症で間違いないかなと思います。
お話を聞いていると、「生まれつき、歩き方も少し変だったと周りに言われることも多かった」ということでした。
この方のお話一緒に変形性股関節症についてお話していきます。
変形性股関節症はもう手術?
変形性股関節症と診断されると手術のイメージが強いかと思いますが、必ずしもそういうわけではありません。
実際に診療にあたって、いろいろな変形性股関節症の患者様を見ますが、「すっごい変形しているけど、そんな痛くはないのよ」という方もいれば「そこまで強い変形をしているわけではないのに、すごく痛い人」もいらっしゃいます。
変形性=痛みではないので、あまり落ち込まないでください。
何で判断をするかというと、その人の生活への影響具合です。
例えば、80代のおばあちゃんで変形性は強いけど、あまり痛みもなく、活動量も近くのスーパーまで歩くのに不自由感じていない。そのような場合ご本人が希望されるなら考えますが、こちらからは強く推奨することはないです。(場合にもよりますが)むしろ、うまく歩けるように硬くなっている筋肉をストレッチしたり、筋力をつけたりするなどリハビリを頑張ってもらいたいと思います。
これが50代の女性で変形は80代のおばあちゃんよりも強くない。ただ活動量が都内の会社まで電車通勤をしている。そのため、通勤するためにものすごく痛い。じっとしていても痛みが出てきてしまう。
このような方の場合は、活動量が多く、炎症による痛みがひどくなっています。動き自体に大きな問題がなくてもこれから関節の破壊が進行する恐れがあるかもしれません。まずは疼痛を除去するために痛み止めや、こわばっている筋肉をほぐしながらリハビリを行なっていきます。
この段階で痛みがコントロールできるようになってくると、画像で骨状態を確認しながら、患者様とコミュニケーションを取って、保存療法で頑張っていくのか、早めに手術療法へ踏み切るのか。というのを決めていきます。うまくコントロールができないなら専門病院の紹介も含めていきます。
絶対手術ということはないのですが、保存療法(いわゆるリハビリ)で治るものかと言われれば、「YES」とは言えません。あくまでも進行を遅らせていき、痛みを緩和させるのが目的です。
実際にはどういうことするの?
今回の方の場合は、歩き方の癖があり、その癖のせいで股関節に負担をかけていました。
そのため理学療法士が歩き方、関節の動きを見て、筋力をチェックして、動きの修正をしていきます。
今回の方も初回の介入でも痛みの感じ方が柔らかくなったとおっしゃっており、2回、3回とリハビリを続けていると痛みが軽減して、手術はまだ考えなくてもいいのかなというお気持ちになったみたいです。
保存療法(リハビリやお薬で治す治療のこと)で大切なことは、股関節の負担を減らすことです。
- 体重を管理する
- 足の長さを補正するためインソールを入れてみる
- 杖をつく
- 活動量の見直し(必要以上の活動をしない)
- 筋肉のこわばりを取っていく。
- 筋力をつけて関節を保護する。
以上のことをしていきながら経過を見ていきます。
痛みが取れてきて、ご自身で運動などがうまくできるようになったら、様子を見てもらいます。
最後に
変形性股関節症は進行性のご病気のため、いかに変形を進行させていかないかということが大切になります!
同じ変形でもその人の生活の背景は違いますので、当院ではそのサポートをさせていただいて、時が来たら、しっかりと専門病院へお繋ぎいたします。
痛みを感じたら無理はせずに、お近くの整形外科に受診することをお勧めします!