先日、診療をしていると「朝起きると腰が痛い」とおっしゃる50歳代の男性の患者様がいらっしゃいました。
「腰痛」というワードを聞くと腰部脊柱管狭窄症やヘルニア、坐骨神経痛などを思い浮かべます。
レントゲン検査ではこれといった異常所見は見当たりませんでした。このような時は患者様のお話をよく聞いていくとヒントが隠されていることがあります。
「寝起きが一番強くて、動いているとそのうち痛みは無くなっている」とのお話でした。
上記で紹介した「狭窄症」であれば、長時間歩いていると症状が強く出るのが特徴です。「ヘルニア」であれば座っていたり、前屈みになると症状が強く出たりなど、決まった動作で症状が出現することが特徴です。
今回のように時間帯で変化する痛みは直前で取り続けている姿勢や環境に問題があることもあります。
なのでお薬以外に、動作や姿勢を見るのが得意な理学療法士のリハビリをオーダーして、じっくり姿勢や動作のチェックをしてもらいました。
痛い動作ではなく時間帯によって変化する痛み
今回のように朝起きた時の動き始めが痛い方では寝ている姿勢を確認します。
・どの向きで寝ているのか
・どのような寝具で寝ているのか
・寝返りは打っているのか
・夜間頻尿があるのか などなど
今回の方の場合、立っている姿勢から反り腰が目立っており、股関節周りの筋肉も硬い状態でした。
このような方が仰向けで寝ていると、股関節の硬い筋肉たちによって反り腰をより増強させる結果となってしまいます。仮に睡眠時間が8時間だとしたら、8時間も長い間、腰に負担をかけた姿勢で過ごしていたら、朝起きたら腰が痛いのも納得いくと思います。
リハビリでは股関節のストレッチを実施して、家でもできるように教えます。
こういう方達には寝方の指導が効果が出やすいと思っています。
簡単に説明すれば、①背中を高くするような姿勢(背中の下にクッションや布団を入れる)②膝下に枕やクッションを入れて膝を曲げたような姿勢にする
今回の患者様にも理学療法士が背中を高くするようにアドバイスをすると次週来てもらった時には痛みも落ち着いていて、喜んでいただけました。
意外とこういうケースは見落としがちになることもあるので、姿勢を整えてあげると、痛みの変化を実感できる方が多い印象です。
同じ朝の痛みでも気をつけてほしいのが
似たようなタイミングで強烈に痛みを出す疾患があります。それは「圧迫骨折」です。
この場合は大きく対応が変わります。骨粗鬆症や高齢の方などは気をつけなければいけません。
骨折と名前はついていますが、「いつの間にか骨折」と言われるように、何か強い衝撃を与えていないのにいつの間にか折れてしまっているなど、「え?なんで?」と思われる患者様も多いです。
なるべく痛みがある時はご自身で直そうとはせずに、お近くの整形外科にかかることをお勧めします。