先日、診療をしていたら、中学生の女の子が「昨日から歩くだけですねの内側が痛い」とおっしゃっていました。
学生さんでこのような言葉が出てくると、「シンスプリント」「疲労骨折」が考えられます。
簡単に言うとオーバーワークです。だからと言って甘くは見ないでくださいね。
シンスプリントと疲労骨折って何?
両方ともすねの内側に痛みを出す疾患です。
シンスプリントというのは簡単に表現すると急に競技レベルや練習量が増えるとすねの内側にダメージがかかり続けてすねの骨の膜が炎症を起こしてしまう疾患です。
疲労骨折も同じく練習量などが増えて脛の骨にダメージが入ることで骨が折れてしまう疾患です。
両者とも痛みの場所、出方が似ているため判断が難しい疾患です。
そして早期ではレントゲンでは判別が難しいことがありますので、定期的に通っていただき、判別をしていきます。
どうやって治していくの?
今回の患者様は学年が上がり、練習量が増えたことで痛みが出現したというお話がありました。
レントゲン検査では疲労骨折を疑うような所見はないため、シンスプリントが疑わしいためリハビリをオーダーしました。
リハビリではまず、痛みが起こっている部分は炎症を落ち着かせることを始めていきます。その部分への負担を取ることから始めていきます。アイスマッサージなどを行い、あとはお家でできるように指導します。そしてシンスプリントを引き起こす人は扁平足(土踏まずが低い)があったりなど体の使い方に問題が隠れているケースがあります。そこの弱点を補うために足の指の使い方、腹筋のトレーニング、硬くなっているあしのストレッチを行います。
インソールを入れることによって負担が減ることもありますので場合によってはインソールを入れたりします。痛みの程度によっては競技を休む期間の設定も必要です。
運動は休まないといけないの?
症状が軽いものであれば練習量の制限はなく治療することも可能なケースはあります。
安静時でも痛む場合は練習量の制限や運動を休んでもらう必要があります。
治療をしていても治らないケースも少なくとも存在します。そういうケースは手術を検討することもあります。
疲労骨折であれば練習は中止です。疲労骨折の場合は画像所見でパターンが存在しています。
3週間程度の完全中止から徐々に再開し、通常6—8週間で元の練習に戻して行くようにします。
ただし跳躍型というパターンでは4ヵ月の運動中止でもその治癒率は50%に満たず、早期に手術療法を検討することもあります。
こういうことをふまえると早めに来てもらえると嬉しいなと思います。
今回の方は痛みが出てからすぐに運動を休止してクリニックに来てくれたため、非常に治療の進み具合はよかったです。
1週間後来てもらうと運動を休止してもらっていたので、痛みは大幅に軽減していた様子でした。ある程度の距離の歩行であれば痛くなく、ただ走る動作はまだ痛い様子でした。
さらにインソールを入れると痛みはなくなってきて1ヶ月後には痛みもない状態で運動もできている様子でした。
早めに来てもらえると運動を休止する期間は少なくて済むので充実した学生生活が送れますね。
出遅れると症状が進行しているケースになってしまうので治りづらかったり、疲労骨折が悪化してしまい手術なんてこともあります。そうなると期間限られてた学生生活をほとんどを治療に費やすなんてことにもなりかねないので早めにお近くの整形外科クリニックを受診することをおすすめします。