以前の記事で高齢者に多い骨折についてお話しをしました。
年齢が上がるにつれて家にいる事が多くなり、バランス感覚や筋力低下が起こり転倒のリスクが増えます。また、家にいて日光を浴びることもすくなくなるため骨密度が減り、『骨粗鬆症』と診断される方も少なくありません。
骨粗鬆症と診断されると、骨折のリスクが高くなります。
特に高齢者に多い骨折の種類は以下の4つです。
① 脊柱圧迫骨折(背骨の骨折)
② 橈骨遠位端骨折(手首の骨折)
③ 大腿骨頚部骨折(股関節部の骨折)
④ 上腕骨頚部骨折(肩関節部の骨折)
今回は①の『脊柱圧迫骨折』についてご紹介したいと思います。
『脊柱圧迫骨折とは』
脊柱圧迫骨折とは背骨の骨折で、特に背中(胸椎)と腰(腰椎)に多く起こる骨折です。
転倒や重い荷物を持ち上げるなど、背骨に大きなストレスがかかることで背骨が圧迫されて引きおこされますが、骨粗鬆症の方は明らかな原因が分からない『いつのまにか骨折』になっていることもあります。
圧迫骨折になると、布団から起き上がる時や寝返りで痛みを強く訴えることが多いです。
治療方法
脊柱圧迫骨折の診断を受けたら、当院ではまずはコルセット(装具)を作成します。
胸~腰全体をコルセットで固定し、骨癒合するまで安静にすることが必要となります。
固定期間は約2ヶ月とされています。
骨折部がずれてしまったり、症状が強い場合は入院で治療することもあります。
十分に骨ができてきて、痛みも軽減してきたらリハビリを開始して日常生活へ復帰できるように身体の動きを出していきます。
今回の脊柱圧迫骨折は高齢者骨折の中でも特に頻度の多い骨折です。
なかなか取れない原因不明の背中の痛みがある場合、早めに受診するようにしましょう。
また鬆症にならないよう日頃から、十分な栄養の食事、適度な運動、外出をして日光を浴びる事を意識し、定期的に骨粗鬆症の検査をすることもおすすめします!→骨密度検査について