今回は患者様からよくいただく質問の中で「階段を降りるときはひざが痛いのに歩く時には平気なのはなぜ?」という質問にお答えします。
歩きと階段の動作の負担のかかり方の違い
- 歩くとき: 歩行中のひざへの負担は比較的均等に分散され、ひざの関節や周囲の筋肉にかかるストレスは階段と比較するとそれほど大きくありません。体重の移動も地面と平行方向へ移動するため階段と比較すると負担は少ないです。
- 階段を降りるとき: 階段を降りる際には、体重が一時的に片足に集中し、膝にかかる力が大きくなります。このとき、膝の曲がる角度が深くなり、特に膝の内側に負担がかかります。膝の軟骨や半月板にかかる圧力も増加するため、痛みが生じやすくなります。
このような違いがあるため、歩きは平気でも階段で痛みが出でくるなど差が生まれます。
本当に関節を大きく壊している場合では、両方の動作で痛みが出でくるはずですので、関節を大きく壊すいっぽ手前の症状とも考えられます。早めの対応が状態を悪化させないために有効です。
階段を降りる際のひざの痛みの原因
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膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう):
ひざのお皿の骨がふとももの骨と擦れ合うことで痛みが生じることがあります。特に階段を降りる際にひざのお皿の骨にかかる圧力が増加するため、痛みが強くなります。 -
内側半月板損傷(ないそくはんげつばんそんしょう):
内側半月板(ないそくはんげつばん)はひざの内側にある軟骨組織で、衝撃を吸収し関節を安定させます。階段を降りる際にこの半月板に負荷がかかり、痛みを引き起こすことがあります。 -
関節の不安定性:
階段を降りる際はひざ関節が平地の歩きより曲げた状態で体重をかけます。靭帯などが損傷しているとひざ関節が不安定な状態になりやすいため、痛みが生じやすくなります。階段を降りる際の動作は、歩行よりも関節の安定性が求められます。
まとめ
階段を降りるときにひざが痛むのは、ひざにかかる負荷や筋力の不足、関節の不安定性が原因となることが多いです。適切なストレッチやエクササイズを行い、筋力を強化することで痛みを軽減することができます。痛みが続く場合や強くなる場合は、必ず専門医の診察を受けることをお勧めします。