2023年10月3日(火)

手首の小指側が痛い

先日、診察をしていると「転倒して手をついてから手首の小指側が痛い」という訴えの患者様が来院されました。

XP撮影で明らかな骨折は確認できず、手首の小指側の骨(尺骨)が不安定になっているのが確認できました。

今回はそんな症状によくみられる『TFCC損傷』について説明します。

 

TFCCってなに?

TFCC(三角線維軟骨複合体)と呼ばれ、手首小指側にある軟骨や靱帯の複合体のことを指します。

TFCCは手首の骨同士をしっかりとつなぎ、適切な動きを可能にする重要な役割を担っています。これによって手首の安定性が保たれ、日常生活における様々な動作が行えます。 

 

TFCC損傷の主な原因

TFCC損傷は主に2つの要因によって引き起こされます。

・ケガによるもの

スポーツの際の転倒や衝突、事故などが原因で、TFCCに負荷がかかり損傷が生じる場合があります。

・繰り返しの負担によるもの

長時間のパソコン作業や重い物の持ち上げ、テニスや野球などの反復的な動作や不適切な姿勢が続くことで、TFCCに過度の負担がかかり、徐々に損傷が進行する場合があります。

 

TFCC損傷の一般的な症状

TFCC損傷の症状には以下のようなものがあります。

  • 特に手首を動かした際に小指側に痛みがでる
  • 手首の運動制限や力の入りにくさ
  • 手首の関節不安定感

TFCC損傷の治療法

TFCC損傷の治療には基本的に、サポーターや物理療法による保存加療となります。

症状によっては鎮痛薬やステロイド注射も使用します。

重度のTFCC損傷や保存的治療が効果的でない場合、手術が必要となる場合があります。


TFCC損傷のリハビリテーション


TFCCのリハビリテーションは主に手首の機能改善や再発予防を目的とします。

日常生活での「握る」動作に着目して、ラケットやバットの使用法を指導します。

また、手首の動きを改善させるストレッチやエクササイズで手首を強化し、安定して手首を動かせるようにする事で再発予防にもなります。

日常生活での注意もTFCCの健康に影響します。例えば、物を持ち上げる際の姿勢や、急激な動作を避けることが重要です。

今回の患者様はサポーター固定で2週間安静にして、自宅での手首のトレーニングやストレッチで症状は改善しました。

ただ、症状改善しても、普段の手首の使い方のクセを直さない限りは再発する頻度の多い疾患ですので、自身で気を付けてほしいとの説明をしました。

今回の症状の様に、1回のケガが原因で再発しやすくなるケースは多くあるので、病院でのリハビリや自宅でのストレッチ、トレーニング大事になってくるので、中途半端に終わらせるのではなくしっかり治すようにしましょう!