先日、診察にて50代の女性が「いつのまにか中指を曲げると引っ掛かって伸びなくなるときがある」との訴えで来院されました。

エコー検査、診察の結果、「ばね指」と診断されました。

今回はこの「ばね指」についてお話したいと思います。

 

ばね指とは

「ばね指」とは、手指を曲げたところから伸ばす際に引っ掛かりが生じ、ばねのようにカクンと跳ねるように指が伸びる（弾発症状）疾患です。

過度の使用などで手指を曲げる腱や、腱をトンネルのように囲んでいる腱鞘が腫れる事で、

腱がスムーズに腱鞘を通ることができず、痛みや引っ掛かり感を引き起こします。

ばね指の主な症状

ばね指は主に以下の症状が出現します。

• 指を曲げると、引っ掛かって伸びなくなる（曲がらない）
• 指を曲げたり伸ばしたりすると、パキパキとした感触や音がすることもある
• 指の付け根に痛みを感じる

　

ばね指の原因

• 高齢者　
  年齢が進むと、関節や腱の柔軟性が低下し、ばね指のリスクが高まります。
• 繰り返しの手の使用　
  特定の手の動作を頻繁に行う職業やスポーツに従事している人は、ばね指の発症リスクが高まる場合があります。例えば、ピアノ奏者や釣り人などが挙げられます。
• 関節の炎症や損傷をしたことがある
  関節の炎症や怪我を経験したことがある人は、ばね指の発症リスクが高まる可能性があります。
• 姿勢の問題
  不適切な姿勢や手の使い方を続けることが、ばね指のリスクを増加させることがあります。

女性はばね指に発症率が高い傾向があります。これは女性の手の構造やホルモンの影響、家事の負担などが関与している可能性があるかと考えられます。

 

 

ばね指の治療法

ばね指は症状が軽度の場合（引っ掛かりがほとんどなく軽度の痛みがある）は、手指の使用をなるべく最小限に控え、負担を軽減させることで改善することが多いです。

引っ掛かりがある場合は、炎症部の痛みを軽減させるため、当院では先生の判断でステロイド注射をします。

注射をしても症状が継続する場合は、手術の選択枝もあります。

当院では手術ができないので、手の専門の先生がいる病院へ紹介をいたします。

 

ばね指予防のストレッチ

• 指のストレッチ１
  • ま手を伸ばして指を真っ直ぐにします。
  • 第１・第2関節を伸ばした状態で１本ずつ指を曲げます。他の指は伸ばしたままで、曲げる指だけを曲げるようにします。
  • 曲げた指を数秒間キープし、ゆっくりと元の位置に戻します。
  • 全ての指を順番に行います。
• 指のストレッチ２
  • まず、手を伸ばして指を真っ直ぐにします。
  • 指をそろえて数秒間キープ・真横に開いて数秒間キープ
  • ２を１０回繰り返す
• 前腕のストレッチ
  • 手を正面に伸ばし、手のひらを上に向けます。
  • もう一方の手で手のひらを引っ張り、手首を反らし痛気持ちいい所まで引っ張ります。
  • 10秒程度キープし、反対の手も同様に行います。

 

 

まとめ

ばね指は指を動かす腱や腱鞘が腫れる事で、曲げ伸ばしにくくなる症状です。痛みやしびれを伴うこともあり、普段の生活に支障をきたすこともあります。ばね指の症状や原因、治療法について解説しました。症状が軽度の場合は保守療法や運動療法が有効ですが、重度の場合は手術が必要となることもあります。

今回の患者様は、エコー検査で「ばね指」の診断を受け、ステロイド注射を行い、1週間程度で症状が治まったそうです。

ばね指は繰り返すことが多い疾患です。症状が出た時は、早期の対処をすることが重要です。健康な指で快適な生活を送りましょう！