先日、「1ヵ月前から右手の親指の付け根が痛む」と言った相談で診察された患者様がいました。
その方は40代の主婦の方で、パートや家事で良く料理をするということでした。
レントゲンを撮ってみると親指の付け根、手首との境目の関節『母指CM関節』という場所の変形がみつかり、その変形による痛みだと診断されました。
その方は鎮痛薬、サポーターにて固定し、2週間ほどで症状は軽減したそうです。
今回はこの「母指CM関節症」について説明したいと思います。
親指の付け根が痛む原因
手の親指は、日常生活で頻繁に使われることが多く、動きを自由にする必要があります。
色々な方向に動くために、関節の周りに靭帯や筋肉が多く、関節の安定を靭帯や筋肉に依存しているため不安定になりやすいです。
特に女性は料理や裁縫など家事で頻繁に手を使用するため母指にストレスがかかります。
ストレスがかかり続けた関節は、次第に関節部が変形していき「変形性関節症」となります。
一度痛みがでると繰り返すことも多く、親指の使い方を見直したり、腕のストレッチなどで予防することも大切です。
「母指CM関節症」の症状
・ビンやペットボトルのふたを開けるときに痛む
・親指でボタンを押すと痛む
・何かをつまむ動作でいたむ
・包丁を握って料理をする など
痛みがでたらどうしたらいいの?
親指の付け根に痛みが出る場合、まずは親指へのストレスを減らすことが大事になります。
サポーターやテーピングで親指の動きを制限させて安静にすることで次第に炎症は引いてきます。
症状が続く場合や、動かせないほどの痛み、熱をもっている等の症状がある場合は、痛み止めの注射や飲み薬を使用します。
レントゲンで変形が強くみられる場合や痛みが長期間続く場合は手術することもあります。
親指の痛みを甘く見てはいけない
今回は親指の付け根の痛み「母指CM関節症」についての説明でしたが、この部位の周囲にでる痛みとの鑑別がとても大事になります。
親指の付け根の痛み以外にも周囲の痛みとしては、「ド・ケルバン症候群」「関節リウマチ」なども考えられます。
自分では判断せず、一度鑑別のために自宅近くの整形外科へ受診するようにしましょう。